人気ブログランキング | 話題のタグを見る

12月31日 今秋のアニメ評価

更新をしばらく休んでましたが、別に止めたわけではないので再開というのとはちょっと違うのですが、また書こうと思います。まずは、やめた時からたまっているアニメの評価をば。

「ef~a tale of melodies.」 (animateTV 全12話 原作:minori 製作:SHAFT)
(4.5、4.8、4.3、4.5、3.9、4.3、4.3、4.5; 35.1pt)
 昨年同時期に放送されていた「~memories.」の続編。前回は脇役だったキャラクターにスポットを当て、前回よりさらに深く憎悪めいた悩みを抱えた若者達の激動の人生を描いた群像劇。
 前回は恋愛に秀でた群像劇だったが、今回は登場人物の惨憺たる境遇の印象が強く、ストーリー的には前回より落ちるのは否めないものの、前回同様の個性的で効果的な演出、美麗な作画、そして2つの音羽という設定の供出と前回の疑問の清算が上手くなされた世界観の表現など十分な完成度を、今回もシャフトは見せてくれた。前作と同一の高得点で、今期では文句無しの最高傑作。
ストーリー:夕と優子、ミズキの今昔の関係など凄く良く練り上げられているが、恋愛よりも救いの印象が強く、前回ほどの感動とまでは行かなかった。
世界観:前回が2つの閉じた世界の話なら、今回はその2つが結びつき、別々だった糸が繋がって様々なことが判明する様が爽快だった。
人物:前回描ききれなかったキャラの人となりがよくわかった。ただ、ミズキを除き病んでいる部分が強調され気味で、感情移入出来なかった部分はある。最好キャラは羽山ミズキ(後藤麻衣)。
作画:前回同様演出の効果も含めて全てにおいて素晴らしい作画は健在。シャフト絶好調だね。
声優:前回に比べ、凪(伊藤静)加入のてこ入れはあったが、それでも他作品に比べ声優知名度で落ちてしまうのは仕方ない。
魅力:ミズキ、凪、優子など女性キャラの柔らかな作風は勿論、男性キャラの格好良さも見逃せない。
主題歌:OP「ebullient future」(ELISA)(4.7)、ED「笑顔のチカラ」(後藤麻衣)(4.1)「願いのカケラ」(中島裕美子)(3.7)。OPは前作の2番煎じの印象が拭えないものの、毎回変わるOP映像とのシンクロは注目。後藤麻衣のEDが、キャラクターの印象と相まって良かった。
劇中音:今作でも数々の奇抜な演出を効果音で盛り上げている他、数々のイメージソングが印象的だった。

「CHAOS;HEAD」 (Kids Station/GyaO 全12話 原作:nitroplus 製作:マッドハウス)
(4.2、4.4、4.3、4.1、4.3、4.5、4.2、4.1; 34.1pt)
 あるゲームのキャラクターが好きなオタク少年とその周囲で起こる様々な怪奇現象の謎を解明するゲーム原作の物語。
 ゲーム先行で話題となったが、アニメでも主人公西條拓海のオタクっぷりが如何なく発揮されているとともに、なかなか解明されない謎に視聴者の興味を惹き付け続けた。主人公を取り巻く女性キャラの可愛らしさと相反する病んだ性格も注目だった。
ストーリー:謎が謎を呼ぶストーリー、そして裏で動く謀略のスケールの大きさなど、視聴者を離さないストーリー展開が出来ていたように思う。
世界観:怪奇さと混沌さがよく表現され、徐々に謎が解明されて行くとともに作品の世界観が明らかになった。
人物:主人公のオタク性、取り巻くヒロイン達の病んだ性格がよく表現されていた。最好キャラは岸本あやせ(榊原ゆい)。唯一信念を曲げず主人公を導こうとしていた。
作画:nitroplus作品は作画が素晴らしいが、本作はやや粗さが見られた。それでも混沌の表現はなかなかのもの。
声優:中堅どころの声優を揃え、安定感ある作品に寄与した。その一方で主人公役吉野裕行の怪演が光った。
魅力:ヒロインのキャラクターデザインが光っていた。
主題歌:OP「F.D.D.」(いとうかなこ)(4.0)、ED「Super Special」(加賀美セイラ)(4.4)。OPは作品の世界観を表現する重要な曲として、挿入歌としても使われていた。EDは格好良さが群を抜いていた。
劇中音:猟奇的なシーンで効果的な音楽がかかっていた印象が強い。





「今日の5の2」 (TVH 全13話 原作:桜場コハル 製作:XEBEC)
(4.4、4.5、4.5、4.2、3.8、4.2、4.1、4.1; 33.8pt)
 「みなみけ」でおなじみ桜場コハル初期原作の、小学校高学年の児童たちの面白おかしなスクールライフを描いた日常系アニメ。
 数年前にOVAで話題となったが、エロチックな面が強調されたOVA版からテレビアニメに移行するにあたりアニメスタジオと声優を一新し、全く雰囲気の違う作品が出来上がった。開始当初は作画の劣化騒動で話題となったが、話数の進行とともに作画の問題は作風として捉えられ、ドタバタを主眼にすることで、「あるある」ストーリーとして共感を得るに至った。終わってみればなかなかの高評価だった。
ストーリー:誰もが経験したかのような錯覚さえ思わせるストーリーで、小学生らしさをしっかりと捉えることに成功した。
世界観:ストーリー同様誰もが感じたかのような雰囲気があった。殆どの話は小学校内で進んだため、あまり冒険することがなかったのも良かったのかも。
人物:小学生たちの等身大な行動や性格がにじみ出ていた。最好キャラは平川ナツミ(阿澄佳奈)。
作画:OVAという比較材料のためスタートにつまづいたように見えるが、その実作品の作風には十分合致した柔和な作画だった。私は初めから好きだったよ。
声優:殆ど気になる声優はなく、阿澄佳奈出演でやっとこのポイント。豪華だったOVAキャストから大幅に見劣りする。
魅力:柔和なキャラデザは作品にはあってるが、魅力と言う点ではやや落ちてしまう。
主題歌:OP「ニセモノ」(Friends)(4.5)、ED「secret base~君がくれたもの」(4.1)他(Friends)(ED平均3.7)。OPは元気さと多少の儚げな曲調がツボにはまった。EDはZONEのカバーこそ懐かしさを感じさせたがあとは印象無し。
劇中音:要所を抑えた効果音が印象的。「みなみけ」のいいところを取り入れた感じ。

「あかね色に染まる坂」 (Kids Station 全12話 原作、製作:feng)
(3.8、3.6、4.3、4.2、4.5、4.4、4.2、3.8; 32.8pt)
 同名ゲーム原作の恋愛&兄弟愛をテーマにしたラブコメ。ヒロイン達の魅力に秀でた典型的ギャルゲーの雰囲気を忠実に踏襲しているが、途中特に前半でかなりコメディ寄りになったこともあって、ストーリー的評価は芳しくないが、キャラクターの魅力を中心にそれなりに見るべきところはあった感じ。
ストーリー:主人公と妹、許嫁の三角関係は読み取れるが、そうした恋愛ストーリーがおざなりにされていた印象。
世界観:恋愛重視にしたいのかコメディにしたいのかはっきりしなかったせいで、表現したい世界が右往左往した。
人物:基本ドタバタだが、その割に丁寧な心情表現が時々見られた。主人公の内面表現は突飛だが面白かった。
作画:キャラクターの書き込みは気合いが入っていたが、背景やその他の部分が若干手抜き。
声優:有名所大量起用で声優面でも話題だった。最好キャラの長瀬湊は、平野綾史上最高と断言する。
魅力:美少女ゲーム制作会社なだけあってキャラクターの可愛らしさは特筆すべきところ。
主題歌:OP「初恋パラシュート」(橋本みゆき)(4.8)、EDは毎回変更のキャラクターソング(ED平均3.6)。OPは橋本みゆき史上最高傑作。可愛い部分をわざと普通に歌うなど巧さもある。EDは特に書くこと無し。
劇中音:効果音や挿入歌で作品が盛り上がった事実はない。

「夜桜四重奏」 (BS-i 全12話 原作:ヤスダスズヒト 製作:ノーマッド)
(3.7、3.8、3.9、4.1、4.2、3.7、4.8、3.9; 32.1pt)
 妖怪と人間が共存する町、桜真町で、若き町長の妖怪槍桜ヒメと同じく若き事務所長比泉明名およびその仲間達が、彼らにより過去に妖怪の世界に葬られた妖怪が彼らの友の姿を借りての復讐劇に立ち向かう様を描いた物語。
 ハイレベルな作品が続いていたTBSの作品であり、さらにアニメフェスタでも大プッシュされていたこともあって期待していたのだが、正直何をしたいのかがよくわからないアニメだった。全体的に暗い雰囲気でありながら、その割に悩みとかの重さが伝わってこず、また、主人公達と敵とのパワーバランスが偏りすぎていて、負け戦ばかり見せられて、見続ける度鬱憤がたまってしまった。主題歌がこの上なく素晴らしい出来だっただけに、作品の出来が残念でならない。
主題歌:OP「JUST TUNE」(savage genius)(4.9)、ED「ナガレボシ」(Round Table feat.Nino)(4.7)。

「ロザリオとバンパイア CAPU2」 (Kids-Station 全13話 原作:池田 晃久 製作:GONZO)
(3.5、4.2、3.8、4.3、4.2、4.4、3.6、4.1; 32.1pt)
 ふとしたことがきっかけで妖怪の世界の学校に通うことになってしまった青野月音(岸尾だいすけ)と彼を慕う女妖怪達が繰り広げるちょっとエッチなドタバタ劇。
 この作品は女性の下着や艶姿などがウリであり、そのため作画には気合いが入っていた。時々というよりは頻繁に下着等を隠すためにでてきたコウモリやクマは完全にフェイクで、そっち方面の演出については語るまでもない。問題はストーリーで、前回は同じくお色気重視ながらも生徒会の暗部や月音が人間であることの糾弾などのテーマ性が見られたが、今回はそれすらなく、完全な作画アニメに成り下がった。

「かんなぎ」 (HBC/BS-japan 全13話 原作:武梨えり 製作:A-1 Pictures)
(4.0、3.8、3.9、4.4、4.1、4.3、3.6、3.9; 32.0pt)
 冴えない美術部員が精魂込めて作った木彫りの偶像から具現化した土地神と幼なじみを巻き込んだスクールライフを描いたコメディ。京都アニメーションを干されて鍛え直し、やっと「その域に達した」監督山本寛の作品とあって放送前から放送中もずっと話題騒然の作品で、色々祭り上げられた結果各所で絶賛の評価を与えられている。
 しかしながら、そういった話題先行型の作品はいまいち感情移入が出来辛く、キャラクターデザインや作画等で目を見張るところはあれど、平凡な学園生活に落ち着いてしまい、図抜けた点を見いだせず、他の特徴的な作品に埋もれて評価が伸び悩んだ。ナギがもう少し神らしさを見せるとか、謎めいた部分をもう少し掘り下げるとかの深みが必要だったように思う。酷評作の「夜桜四重奏」を下回ったのは主題歌まで独占した戸松遥の贔屓ぶりに嫌気がさしたせい(主題歌で-1.2pt)だが、日常系では「今日の5の2」に、学園ものでは「あかね色に染まる坂」にとても及ばない程度の作品に終わってしまった。最好キャラは青葉つぐみ(沢城みゆき)。

「まかでみWAっしょい」 (GyaO 全12話 原作:榊一郎「まじしゃんずあかでみぃ」 製作:ZEXCS)(31.4pt)
 日常世界では冴えない生徒の羽根川拓人(小清水亜美)は、裏の顔である魔法世界のまじしゃんずあかでみぃの生徒として、両世界を行き来出来る。そんな拓人が召還した強大な力を持つタナロット(伊瀬茉莉也)と、兄大好きな妹羽根川鈴穂(宮崎羽衣)が拓人を取り合う様や、あかでみぃでの生徒や先生を巻き込んでの壮大な大騒ぎを描いた作品。
 この作品に関しては、ストーリーはあってないようなもので、とにかくばか騒ぎしていた印象しか残っていないが、そのばか騒ぎが一貫して行われていたために、アニメにすんなり入ることが出来て毎週楽しかった。キャラクターが相当多く、覚えきれなかったが、いずれも個性的で特徴的だったのは間違いない。ポイントこそ伸びなかったが、印象は割と良い。

「ケメコデラックス」 (GyaO 全12話 原作:いわさきまさかず 製作:ハルフィルムメーカー)(31.1pt)
 平凡に暮らす高校生小林三平太(喜多村英梨)のもとに突然空から落ちてきた超人ロボ、ケメコ(斉藤千和)。そのロボに乗るエムエム(戸松遥)は三平太が幼い頃結婚を約束した思い人によく似ている。そんな淡い思いはケメコの傍若無人さのまえにあっけなく剥がされ、さらに幼なじみの牧原イズミ(高橋美佳子)やよく出来た妹小林タマ子(後藤麻衣)、謎の剣士黒崎リョーコ(白石涼子)らを巻き込んでとってもバイオレンスな日常を送るコメディと言えるのかどうかさえ憚られるような危険作。
 この作品は原作が未完どころかちっとも進んでなく、そのため実のあるストーリーがまともに描けていなかった。そのため、幾つもの謎が謎のまま最後までちっとも進展を見せない様は正直腹が立つ。(同じ謎ものの「CHAOS・HEAD」が高評価だったのと対照的。)そんな状態でアニメ化してしまったものだから(しかも発表は一昨年の電撃15年祭とかなり早い)、結局コメディ色を強くしてごまかすしかなく、結果血みどろのバイオレンス作品に成り下がってしまった。作画面や声優の豪華さが群を抜いていただけに、この体たらくがどうしても許せず、今期最低作の汚名をかぶせることとなった。
by mfbox | 2009-01-01 01:26 | オタクゴタク(語託) | Comments(0)