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7月23日 2013春四半期アニメ評価

お待たせしました。恒例、四半期ごとのアニメ評価です。先々週にはほぼ全作品見終わっていたのですが、評価をまとめる時間が取れずここまで延びてしまいました。今期は予想外の優秀作が飛び出る意外性のクールだったように思います。34ポイント台は5作、33ポイント台以上は合わせて9作に及び、充実したクールでもありました。その分評価の延びなかった作品は酷評がぽんぽん飛び出す有様で、明暗がくっきり分かれました。事前の注目Top5はゆゆ式、クライムエッジ、ガルガンティア、RDG、変猫でしたが、結果は?
(8/6 翠星のガルガンティアのポイント修正、ちはやふる2評価追加)

「翠星のガルガンティア」(BS11 全13話 原作:オケアノス(オリジナル) 製作:Production I.G.)
(4.4、4.5、4.5、4.4、4.4、4.5、4.2、3.9; 34.8pt)
 高度な技術力を持つ組織の戦闘員レド(石川界人)が敵勢力との戦闘で制御を失い、不時着したかつての地球で、水の星を生きる船団に拾われ、言葉すら通じない所から徐々に船団の仲間として受入れられ、生き方を培って行くオーシャンサクセスファンタジー。
 当初謳われたロボットアニメよろしく、1話冒頭では大規模なスペースバトルが繰り広げられたが、不時着後の原始的な海の世界に話が移ってからは、丁寧に船団員との関係作りを描き、主人公の成長物語として卓越したストーリーを見せてくれた。鳴子ハナハルらの作画陣も話題を呼び、表情豊かなヒロイン画など魅力もたっぷりだった。ロボットアニメという括りを早々に捨てて見れば大いに楽しみ甲斐のある優秀作だったといえるのではないだろうか。
ストーリー:機械頼りだった主人公が放り出された未知の世界で1から成長し直すグロウアップストーリーとして見れば、かなり優秀な物語と言えると思う。
世界観:互いに協力して海の上を生きる船団の原始的な雰囲気を楽しめれば勝ち。ロボットに拘ると痛い目を見る。
人物:警戒心から始まり、仲間として迎え入れる乗組員たちのいい性格、冒険心、擦れ違い、危機に対する団結力と決断力、どれもが豊かに表現されていた。
作画:ヒロインたちの表情や男性陣の風情たっぷりな作画もさることながら、なにより素晴らしいのは、海しか無い世界を様々なバリエーションで変化をつけている所。
声優:人気どころ、ベテラン勢を揃え、それぞれがいい味を出している。阿澄、伊藤といった好きな面々も出演。
魅力:ヒロインたちの艶のある表情豊かな作画が作品の魅力作りに大きく貢献している。そして忘れてはならないのがラストシーンでのチェインバー(杉田智和)の感動的な行動。
主題歌:OP「この世界は僕らを待っていた」(茅原実里)(4.2)、ED「空とキミのメッセージ」(Choucho)(4.1)。OPは盛り上げ方が上手く、主人公への応援ソングのように感じる。EDは感情的に歌い上げる良曲も、誰のことを歌ってるのかが判ると感動もついて来ると思う。
劇中音:イカの大群をやり過ごすために全電源を停止するときの効果音は印象的。風の音など自然の表現も良かったが、物語の根幹に関わる部分に踏み込めでおらずBGMの印象はやや薄い。

「はたらく魔王さま!」(AT-X 全13話 原作:和ヶ原聡司 製作:WHITE FOX)
(4.5、4.6、4.5、4.4、4.1、4.3、4.2、4.0; 34.6pt)
 魔界エンテイスラでの戦いから敗走した魔王サタンが転送した先は現代日本だった。魔力も失った魔王が真央貞夫(逢坂良太)として貧乏アパートで暮らしながら日本のファーストフード店で優秀なバイトとしてはたらくさまを、魔王を追って同じく日本に転送され派遣職員として暮らす勇者エミリアこと遊佐恵美(日笠陽子)との奇妙な関係性と共に描いたファンタジックギャップコメディ。
 ラノベ枠とたかを括っていたら、その出来の素晴らしさにビックリ。悪行の限りを尽くした魔王が礼儀正しい優秀なアルバイター、その一方で戦闘に勝利し喝采を受けるはずの勇者は目つきの悪いストーカーのような状態。しかも魔王は佐々木千穂(東山奈央)に慕われるなど人気者で、勇者側勢力は堕天使まで巻き込んで陰謀を企てるとか、どっちが悪者なんだ?というギャップの立て方が秀逸で、いちいち可笑しい。また物語の展開もテンポが良く、割と良く出現する敵に対し結局は共闘する魔王と勇者とか、魔王の真の強さも垣間見ることが出来、13話という短い話数にあってかなりいろんなことが展開され、全てを楽しむことが出来た。1話からその傾向が如実に出ており、面白い作品は初めからきちんと面白いと改めて実感。
ストーリー:魔王と勇者のギャップ、ちーちゃんの乙女心、異界のものとのバトルなど書きたいことが山ほどある。それだけストーリーとして充実していた。
世界観:笹塚・幡ヶ谷での生活・労働だけ見ていれば良くある日常風景(たまに悪魔による破壊あり)でしかないが、エンテイスラという非日常の世界が示されることで、日常の世界の深みが一気に増幅された。
人物:登場人物が皆、元の立場は何だったんだと言わさんばかりに手のひらを返したような人間性を見せているのが傑作。最好キャラは佐々木千穂(東山奈央)。
作画:作画が崩れなかったことも作品の面白さを維持させた勝因の1つ。真の魔王の姿や戦闘シーンも気合いが入っていた。キャラの表情の豊かさ(変顔)も特徴的。
声優:決して豪華な面子とは言えないけれど、全員が例外無くキャラに命を吹き込む名演技でした。特に東山さんがいい味出してました、出演他作品の評価を貶めるほどにね(笑)。
魅力:真ヒロインのちーちゃんが可愛いこと、主人公の真央が格好いいこと、この辺りが本作の大きな魅力。そしてギャップの表現のために泣かされたエミリア(笑)。
主題歌:OP「ZERO!」(栗林みな実)(4.6)、ED「月花」(nanoRipe.)(3.8)。OPは疾走感溢れる明るい曲。作品の面白さと共に聞き心地も良くなった。EDはしっとりして、本編の興奮を冷ますにはいいかもしれないが、物足りない印象。OPEDとも途中から完全版に差し替えとなったが、展開に沿った意図的なものか、それとも?
劇中音:魔界での戦闘シーンなど、気合いの入った効果音もあったけれど、シーンとしては少なかった。日常シーンは逆に印象無し。

「ゆゆ式」(AT-X 全12話 原作:三上小又 製作:キネマシトラス)
(4.0、4.4、4.5、4.2、4.1、4.5、4.5、4.2; 34.4pt)
 女子高生になったばかりの野々原ゆずこ(大久保瑠美)、日向縁(種田梨沙)、櫟井唯(津田美波)の仲良し3人組が、何でも無い日常の中で面白いことを見つけては可愛く掛け合いを繰り広げるゆるふわ日常百合コメディ。
 これまでも傑作の多かったまんがタイムきらら作品であり、キャストも注目で事前の期待が高かった本作。その期待にしっかり応えてくれた印象。基本的には何も起こらない日常の話であり、ことばあそびを上手く広げ、キャラの表情を豊かに表現することで、愛らしいキャラクターたちに心酔できた。主役3人に限れば、ゆずこの計算づくのボケに天然気味のゆかりが乗っかり、唯のツッコミを「誘導」している構図があって、突っ込む側が恥ずかしがったりして、ツボにはまるとキャラの魅力が爆発するという、キャラ主導のアニメとして優れた作品だった。
ストーリー:日常の範疇を出ない普通の高校生活。基本的に気分良く見られるが、話の広がりも無い。
世界観:一応「情報処理部」ということで部活のシチュエーションはあるが、それよりも3人で過ごす教室や登下校、唯の家での風景が印象的。
人物:主役3人の掛け合いで作品がもっている印象。それゆえ、3人の性格や台詞が上手く練られ、生き生きしている。
作画:キャラの可愛らしさが良く表現される作画ではあるが、白目の表現を多用するなど、やや緩すぎる部分もある。
声優:ゆるゆり発の2名の声優に加え、新世界よりの早紀からは想像もつかないふんわりした高い声を聞かせてくれた種田さんは注目。ただ、出演者が少なく、全体的には小振りな陣営。
魅力:3人の立ち位置がはっきりしているので、それぞれが負けず劣らず魅力を発揮している。その中でも突っ込まされ役で頼られ役の櫟井唯(津田美波)が最好キャラ。
主題歌:OP「せーのっ!」(情報処理部)(4.8)、ED「Affection」(Mayumi Morinaga)(4.2)。OPは仲良し3人組の快活な印象が全面ににじみ出た元気ソングで、今期の最好曲。EDも明るく仲良しの雰囲気がにじみ出る良曲。
劇中音:緩さを醸し出す効果音が本作の作風を引き立てていた。「なーんつってつっちゃった」のように、キャラクターたちで作り上げる劇中曲も興味を引いた。

「変態王子と笑わない猫」(TVH 全12話 原作:さがら総 製作:J.C.STAFF)
(4.2、4.2、4.1、4.8、4.0、4.7、4.4、4.0; 34.4pt)
 願いを叶えてくれるという「笑わない猫像」に裏表のない性格が欲しいと願った横寺陽人(梶裕貴)は、その翌日から秘めていた変態な思考までだだ漏れになってしまった。失ってしまった建前を取り戻すため、同じ時に別の願いをした筒隠月子(小倉唯)と様々なアプローチで奮闘する変態学園ドタバタファンタジー。
 今期の作品の中では特筆すべき作画力を見せた。特にキャラクター画が素晴らしく、そのままキャラの魅力に繋がっている。猫像の不思議を巡るストーリーも、謎を多く展開して来たが最後にすっきりする形で終え、ライトノベル原作にしては構成の良さも光った。実はACEで配布された小冊子で部分的に前知識を持っていたために、物語の大半を無表情で通した月子を、隠された真の表情を思い描きながら見られたのは評価に結構影響を与えていたかもしれない。
ストーリー:謎の多い猫像の願いについて、陽人の記憶喪失の件に絡めて綺麗に種明かしをしたのは好印象。それによってストーリーの大半の繋がりが見えた。
世界観:猫像にかけた願いが歪んだ形で叶えられることを様々な形で表現されており、工夫が感じられた。
人物:面白いキャラが揃っている。月子を除いては主人公への想いの解放が急すぎるきらいはあるが、心情の吐露も物語の流れにいいアクセントを生み出していた。
作画:キャラクター原案のカントク画を上手く昇華させ、魅力溢れた作画。キャラ画が前面に来る作品になるとJ.C.はいい仕事をする。特に今期は図抜けている。
声優:このところセットでの出演が大半なゆいかおりがまさにメインを張るアニメ。絶好調の梶くんもいるが、他の声優陣は弱い。
魅力:結果的にキャラ画による所が大きいが、小豆梓(石原夏織)の2話での可愛らしい仕草なども見逃せない。無表情の月子も本当は表情豊かで可愛いところはEDで確認できる。
主題歌:OP「Fantastic Future」(田村ゆかり)(4.6)、ED「Baby Sweet Berry Love」(小倉唯)(4.2)。OPはダンサブルなサウンドに乗ったゆかりんの18番。悔しいが陽人の笑顔にも萌えてしまった。EDは上にも書いたが月子の可愛らしい表情が見られる数少ない映像で、小倉嬢のつたない歌声がいい方向に相乗効果を生んでいる。
劇中音:猫像のでたらめな印象を強調するため激し目の効果音が目立っていた。

「俺の妹がこんなに可愛いわけがない。」(TVH 全13話(TV版) 原作:伏見つかさ 製作:A-1 Pictures)
(4.2、4.2、4.0、4.3、4.2、4.5、4.5、4.1; 34.0pt)
 容姿端麗で才女の高坂桐乃(竹達彩奈)は実はエロゲー好きのオタク少女。そんな桐乃と険悪な関係ながらも妹のために奮闘する兄・京介(中村悠一)、さらに桐乃の友人やオタク仲間との騒がしい日常を描いたオタク系日常コメディ。
 1期のWeb版(桐乃がアメリカに留学し京介が呼び戻しに行った)以後のストーリーとして描かれ、桐乃が素直な面を多く見せるようになったことで、1期のような不快感無く視聴することが出来た。そうなると、細かな設定や描写が卓越する本作の面白い面が見えて来るようになり、ギャグテイストを素直に楽しめるようになった。2期と1期でここまで評価の割れる作品(2期の方がいい)はそうない。残り3話は後日ネット配信されるので、視聴後に再評価する予定。
ストーリー:桐乃と兄や周囲、京介とヒロインたちの関係性を深めるエピソードで構成され、ともすれば手を出しすぎと言われがちな所を、桐乃と京介の互いの想いに焦点が向かうようになっているのは構成の妙。
世界観:秋葉原やイベント会場などのオタク気質な雰囲気と、対比を成すような日常風景のメリハリが効いている。
人物:良く言えば特徴的、悪く言えば癖のあるキャラ揃い。それでも本作では感情の揺れ動きが上手く表現されていたと思う。最好キャラは新垣あやせ(早見沙織)を置いて他に無い。乗せられ易さを含め感情の動きが面白すぎ。
作画:1期同様割りと雑なキャラ画なのだが、感情の変化が捉えられるような表情の描き方が良く出来ていたと思う。
声優:人気声優が揃っており、人気先行型な点は否めないが、2期ともなり声優の力でキャラが生き生きしていたのは確か。
魅力:今期はヒロインの魅力を引き出すために、各キャラに結構無茶をやらせていて、それがまたグッと来た。
主題歌:OP「reunion」(ClariS)(4.5)、EDは個別。俺妹といえばClariSというくらいに浸透した前期に引き続いてOPを担当。特徴的な声質とダンサブルなサウンドで今期も音楽面から盛り上げてくれた。
劇中音:メルル絡みの挿入歌も評価できるが、キャラの感情や雰囲気に合わせたしっとりくるBGMが良かった。

「ハヤテのごとく!Cuties」(TVH 全12話 原作:畑健二郎 製作:Manglobe)
(3.9、4.1、4.2、4.2、4.8、4.3、4.7、3.8; 34.0pt)
 多額の借金を肩代わりしてもらった三千院家に執事として居候する恋愛朴念仁の綾崎ハヤテ(白石涼子)を想うたくさんのヒロインたちの揺れ動く気持ちを描いたハーレム執事ラブコメ。
 製作がマングローブに変わった前作から、原作から離れた所で話が展開しており、それゆえ前作では大コケしたので、開始当初は不安もあったが、ヒロイン個別ルートで展開されたストーリーは、それぞれのキャラクターの気持ちをじっくり描くことが出来、とっ散らかりそうなハーレムものの話としては分かりやすかったと思う。ただ、ハヤテのごとくというビッグコンテンツに対しての評価としてはとても十分とは言えない。まだ続くだろうから、再びの奮起を期待したい。
ストーリー:各キャラ個別のオムニバスとしては悪くないが、それゆえ展開の広がりは皆無。原作は進んでいるだけにこの停滞感はあまり望ましくない。
世界観:第4期だから既に出来上がっているといえばそれまでだが、オムニバス故かあまり深く考えられていないようにも感じる。アテネ(川澄綾子)の登場のさせ方にも疑問符がつく。
人物:こちらも各キャラの性格が分かりきっているので描きやすいということになるが、悪くはない。性格の悪いキャラはそのままだけど。
作画:神のみやましろ色などヒロインの作画には長けているはずのマングローブだが、ことハヤテだけはいまいち魅力を出し切れず、コレジャナイ感がどうしてもつきまとう。
声優:この作品は声優の充実度に関しては他作品を凌駕する。
魅力:すでに性格の分かっているキャラクターたちが個別ルートで輝いているというのがぴったり。最好キャラはヒナギク(伊藤静)、千桜(藤村歩)、泉(矢作紗友里)、咲夜(植田佳奈)で甲乙付け難い。
主題歌:OP「春Ulala♡LOVEよ来い」(桂ヒナギクStarring伊藤静)(4.7)。OPは2期EDの実績もある作品内でも人気のキャラクターによる魅力溢れる楽曲。EDはキャラクター個別。
劇中音:前期で立ち位置不明だった水蓮寺ルカ(山崎はるか)のアイドル楽曲は多少フィーチャーされていたが、それ以外には印象が無い。

「レッドデータガール」(BS11/Kids St. 全12話 原作:萩原規子 製作:P.A.WORKS)
(4.1、4.3、4.0、4.4、3.9、4.2、4.2、4.1; 33.2pt)
 山奥の村で外との接触を出来るだけ避けながらひっそりと暮らしていた少女鈴原泉水子(早見沙織)が、転校生を始めとする様々な人との出会いによって、自らの特殊な境遇に気づき、それを自覚してなお普通でありたいと願いながらも、様々な心霊的事件に巻き込まれる心霊伝奇ファンタジー。
 心霊や憑依、心象世界といった独特の世界観で繰り広げられる物語で、いわゆる秘境と例えられる地名も登場させつつ、出来るだけ多くの神道的要素を取り入れているが、難しい分野の話であり、キャラクターの行動心理もその難しい世界観に基づいているため、内容が分かりにくかったというのが正直な所。特に悪い点は無いだけに作り手の頑張りが視聴者に響かなかった残念な例。
ストーリー:巻き込まれる事件が泉水子の心理や進路、覚悟を変えていくという流れで構成され、その点は分かりやすい。ただ、事件の特殊性が話を難しくしている。
世界観:原作で良く練られている精神世界がよく表現されている。違う世界に迷い込んだときの雰囲気もしっかり描き分けされていて掴みやすかった。
人物:学園内での立場を巡る駆け引きなどもあり、意図的に心理面を隠している部分もあると思うが、話を分かりよくするためにももう少し心の声を出しても良かったのではと思う。
作画:特長ある岸田メルの作風をP.A.WORKSによる細い線の作画が上手く処理していた。背景も美麗。
声優:中堅と若手中心の構成で、人気どころは押さえているが、いまいちぱっとしない面子。
魅力:主人公サイドのキャラクターは強い個性を出しており、式神含め魅力がある。ただ、物語はそれ以外の脇役にもスポットが当たっており、そちらにも力を入れてほしい。
主題歌:OP「スモールワールドドロップ」(Annabel)(4.5)、ED「予感」(伊藤真澄)(3.8)。OPは変に明るくなく、かといって地味でもなく、優しい感じの楽曲。EDは作品の音響効果にも関わった伊藤さんの独特の歌唱法が印象的。
劇中音:独特の世界観に沿った効果音が雰囲気作りに寄与していた。

「絶対防衛レヴィアタン」(TVH 全13話 原作:GREE 製作:GONZO)
(4.2、4.3、4.2、4.2、4.1、4.5、3.8、3.9; 33.2pt)
 惑星アクアフォールに隕石が落下し、放たれた謎の生物たちに人類の未来が冒されようとする中、小さな町に住む竜族の少女レヴィアタン(早見沙織)が妖精シロップ(花澤香菜)に求められ、嫌々ながら仲間と敵に立ち向かうゆるふわバトルコメディ。
 ソーシャルゲーム原作な上、放送時間帯的にも期待薄として惰性で見ていたのだが、世界の危機とは裏腹なキャラクターの緩さがツボにハマり、思いのほか笑わせてもらった。コメディとシリアスの緩急がしっかりしている上に、コメディに対しては徹底的で、気分良く見続けることが出来た。特に沼の主ユルルングルの体内に入る第3話はこれでもかというくらいのコメディ押しで繰り返し見るくらいだった。
ストーリー:キャラのやる気とか計画性の無さとか突っ込みどころ満載ながらも、最後は害虫ルーカサイトの駆除に成功するめでたしめでたしな王道展開だが、悪くない。
世界観:世界の危機をもたらす敵勢力の強さや数の多さだったり、のちにお助けキャラなる沼や火山の主たちなど、ストーリー上の重要なパーツはしっかり描かれている。それだけに作品の緩さがなお生きて来る。
人物:悪役(ルーカサイト)は意思を持たないので、基本善人で溢れた世界。表面的にやる気無く見えても内面は熱いものを持っているというのもいい。最好キャラは、不遇が多い故判官びいき含みだがバハムート(喜多村英梨)で。
作画:いわゆる判子画というやつで、見分けのつかないキャラもいたりしたが、全体的な作画としては悪くない。笑いどころを解りやすく表現できていた所も強みか。
声優:今期大活躍の早見さんをはじめとして、中堅どころをしっかり固めた感じ。
魅力:何度も言うが、緩さを演出するキャラクター性が卓越していた。作品全体の雰囲気の良さも含めて十分な魅力を持っている。
主題歌:OP「始まりのResolution」(カンノユキ)(3.9)、ED「Tlury」(PASSPO☆)(3.7)。OPはバトルを想起させる疾走感溢れる曲。EDは本編で緩さを味わった後の余韻を味わえる楽しい楽曲。ただ、他作品に良曲揃いの今期にあってはどちらも目立たないと感じるのは仕方ない所。
劇中音:惜しかったのはここ。作品の緩さをさらに引き立てるBGMの充実があればなお良かったかな。

「断裁分離のクライムエッジ」(AT-X 全13話 原作:緋庭鍵彦 製作:Studio五組)
(4.2、4.3、4.1、4.5、3.9、4.3、3.7、4.1; 33.1pt)
 キリンググッズと呼ばれる殺人兵器を身に宿す特異能力者が、本来殺害対象であった断髪不能の長髪の少女に一目惚れし、毎日髪を切る約束をして関係を持ちながら、日々襲い来る別のキリンググッズ所持者との死闘を繰り広げる異能者バトルフェチズムアニメーション。
 好調のStudio五組作品であることと、ACEのイベントステージを見たこともあって、事前から期待をかけていた作品。確かに画は美麗で、特にヒロイン武者小路祝(小岩井ことり)の特長である黒髪の表現は印象に残るものだったが、出て来るキャラがみんなして異常性癖の持ち主で、その変態ぶりには正直呆れた。ただ、そこまでぶっ飛んだことを、映像だけでなく演技でも表現させる気概は大したもので、苦笑しつつも楽しめた。
ストーリー:キリンググッズの生業やそれを巡る組織の存在など、意外と大きなストーリー展開だった。とはいえ、やはり主人公とヒロインの関係性がいい感じで描かれていたと思う。
世界観:異常性癖者の狂気や殺人衝動に絡む不穏な雰囲気が良く表現されていた。結果としてバトルも作品独特の狂気に溢れたものになっている。
人物:話の進み方がじっくりだったこともあり、殺人衝動に至るグッズ所持者の心の動きが丁寧に表現されていたように思う。
作画:変態的な表現も含めて、人物の動きを中心に良く描かれていた。ただ、Studio五組ならではの可愛いキャラもいるが、変態さんたちの印象の方がどうにも強くて(苦笑)。
声優:取り敢えず祝ちゃんがキクちゃんにならなくて良かった(笑)。声優の充実度としては低い。
魅力:各キャラの変人ぶりが表情にも出ていて、魅力としてはどうかとも思うが、ヒロインの愛らしさに救われた部分は大きい。変態性をくすぐる擬似性的表現はやはり魅入るものがあった。
主題歌:OP「運命の檻」(愛美)(3.8)、ED「君と二人」(Yuri*Kari)(3.6)。どちらも作品の圧倒的な雰囲気に呑まれ物足りない。EDは新人の割には深みのある歌だがヒット性には乏しい。
劇中音:作風故にホラーな面も強調されていて、恐怖感を煽るBGMが冴えていたように思う。



「革命機ヴァルヴレイヴ」(HBC 全12話 オリジナル 製作:サンライズ)
(3.9、4.1、3.9、4.3、4.3、3.8、4.2、4.2; 32.7pt)
 独立平和の中にあったジオール国が敵国ドルシア軍の奇襲を受け、存亡の危機に陥った中、地下を彷徨っていた時縞ハルト(逢坂良太)が乗り込んだ謎多き秘密兵器ヴァルヴレイヴによって敵を撃退し、危機を救ったが、そのヴァルヴレイヴに隠された秘密やドルシア軍の度重なる猛攻を堪えしのぐ様子を描いたスペースロボットバトルアクション。
 ロボットアニメ3部作の1つ(他はガルガンティアとマジェスティックプリンス)として期待された作品で、定評のサンライズ作品ということで声優の豪華さやロボットの作画など見る所は十分にあるが、対立構造が戦闘慣れした非情なドルシアに対し機体性能頼みで甘えの残る学生集団ということで、ロボットの性能インフレが目立った印象。一応学生たちは何らかの特殊な事情を持っているようだが2期回しで、今期は学生の自由奔放さや幼稚じみた面が目立ち、深刻な状況にそぐわない発言や行動が多くマイナスの印象を与えたのは良くなかった。
ストーリー:学生たちが努力して自分たちで何かを作り上げようと言う成長物語でもなく、ドルシア側も本当にヴァルヴレイヴが目的なのか分からない感じで、メインとして伝えたい所がはっきりしない、理解の難しい発散ストーリーになっている。
世界観:2期に続くためまだ機体や敵の秘密が小出しもしくは唐突に表現されており、判らないことだらけ。表面上の世界情勢は何とか読み解ける。
人物:学生たちが物事をあまり深く考えないで決めている印象が強い。とくに主役級に近いほどその傾向が強く、ショックを受けたりあたふたするさまは見ていて痛々しい。
作画:ロボットや宇宙空間の作画表現はさすがサンライズと言った所。キャラクターはそれなり。
声優:人気声優、ベテラン声優そろい踏みでなかなか豪華な面々。それにしても今年の梶くんは凄いね。
魅力:先の人物評価にある通り、学生たちには共感できないし、一方でドルシア軍の面々も性格が悪い。魅力を感じる要素はあまり無いかな。
主題歌:OP「Preserved Roses」(T.M.Revolution x 水樹奈々)(4.6)、ED「僕じゃない」(angela)(3.6)、「そばにいるよ」(Elisa)(3.7)。OPは確かに凄い奇跡のコラボ。曲も熱いしヒット性も十分。EDはそれほど強い印象は無いが、取り敢えずElisa復活おめでとう。
劇中音:最近のロボットアニメよろしく、飛行や戦闘の効果音は充実している。

「這いよれニャル子さんW」(AT-X 全12話 原作:逢空万太 製作:XEBEC)
(3.8、4.0、3.8、4.4、4.3、4.3、3.9、4.0; 32.5pt)
 衝撃の出会いからずるずると八坂真尋(喜多村英梨)の家に居候を続けるニャル子(阿澄佳奈)らクトゥルー神話の邪神たちが、新たなキャラクターや地球にイレギュラーな敵との戦闘を交えつつ真尋さんへの愛を語るドタバタバトルラブコメ。
 意外と人気が高く、嬉しい二期放映ではあったが、前期から続くニャル子の一方的で強引な愛情表現がどんどん鬱陶しくなって、阿澄さんじゃなかったらついていけてないと思う。また前期にくらべパロディネタの冴えは無く、全体的に前作に及ばない面が多々見受けられたものの、サブカルに焦点を当てたストーリー展開はクスリとさせるものが本作にもあった。
ストーリー:基本ギャグなので、ストーリーを求めたら負け。それなりに面白かったので満足している。
世界観:相変わらず神話とサブカルがごた混ぜな設定だが、それが面白い。
人物:特にニャル子の気性の上下動が激しく、結果的に繰り返しな展開になっているのはややいただけない。
作画:XEBECの持ち味が発揮され、肌色成分が多くなくてもそれっぽく見えてしまうシーンの描き方が上手かったり、前期に引き続きぬるぬる動く作画はたいしたもの。
声優:実質的に増えたのはクー音(柚木涼香)くらいだが、前作同様豪華な声優ラインアップ。
魅力:ニャル子の性格で↓な分、今期はクー子(松来未祐)がいい味を出していた。切ない曲調のED含め最好キャラは今期はクー子で。
主題歌:OP「恋は渾沌の隷也」(後ろから這いより隊G)(3.9)、EDはキャラクターソング。OPは前作ほどのインパクトは無いが、ノリはいい曲。EDは印象的な良曲が揃っていたのだが、少なくとも全話数の半分くらいで同じ曲がかからないとED曲を指定できないのでポイントはなし。
劇中音:EDの良曲評価はここに反映させた。BGMの方はさほど印象無く、結果このポイント。

「ちはやふる2」(日テレプラス+ 全25話 原作:末次由紀 製作:マッドハウス)
(4.2、4.2、4.1、4.2、3.9、3.9、3.5、4.1; 32.1pt)
 競技かるたに心酔し、日本一を目指して切磋琢磨する高校生たちの青春を描いた熱血競技かるたアニメーション。
 前作同様丁寧に練られた展開が一貫しており、一生懸命さが伝わって見ていて感動的ではあるのだが、いかに実際的な描き方をされているとしても、主人公に負けやピンチな場面が多すぎるのはストレスを感じざるを得ない。主人公補正は何かと批判されがちであるが、その逆もまた上手くはないのだなと感じさせる作品だったと考えれば貴重かもしれない。(団体戦優勝や3階級制覇とか、団体的には補正は十分かかっていたのだけどね。)

「Devil Survivor 2 The Animation」(BS-TBS 全13話 原作:ATLUS 製作:bridge)
(3.9、4.1、4.0、4.2、4.3、3.9、3.7、3.9; 32.0pt)
 突如訪れた人類の危機に立ち向かうため、携帯ソフトにインストールされた悪魔を駆使して強大な敵に対処する戦いを描いた終末世界救済バトル。
 PersonaシリーズのATLUS原作ということで、設定の緻密さや敵キャラクター・戦闘シーンの奇抜さに期待していたのだが、そういった所にあまり魅力を感じられないまま、絶望感だけを残しながら話が進み、声高に「犠牲」ばかりが飛び交う暗い作品だった。設定面でも「死に顔動画」で友人の死を示唆しておきながら、その精度が疑われる程度に中途半端な生死の割合で、ツールの存在意義を問われる場面も目立ち、正直あまり上手とは言えないストーリー展開だった。

「百花繚乱サムライブライド」(AT-X 全12話 原作:すずきあきら 製作:アームス)
(3.7、4.2、4.0、4.0、4.3、4.0、3.7、3.9; 31.8pt)
 将と契り(口唇)を交わすことで超人的能力を発揮できる女武将・サムライガールズを3人抱える柳生宗朗(平川大輔)のいる学園が金欠でメイド喫茶を始めた矢先に現れたダークサムライとの一触即発の関係や、その裏に隠された大日本を揺るがす危機を描いた改変武将伝記アニメの第2期。
 今期は規制解除のAT-Xで視聴できたのでその点での不満は無かったのだが、せっかく大日本に迫る危機とその原因を上手く熱く表現して来たのに、最後に駆け足のように主人公たちが生死を繰り返し、出来もしない敵側の救い表現を数秒でしてみたり、最終兵器のはずのサムライブライドを十分に盛り上げることが出来ないまま最終決戦もあまり尺無く片付けられるなど、最終話がとにかく酷かった。作品の潜在力は十分にあるだけに、尺の計算が出来なかった製作側は糾弾されて当然である。とにかくちなみに製作のアームス前作はまおゆうで、こちらも物語は最後に破綻しており、似たような作り方しかできないのかと思うと呆れる。

「あいうら」(AT-X 全13話 原作:茶麻 製作:Lidenfilms)
(3.5、3.8、3.8、4.5、3.7、4.2、3.3、3.8; 30.6pt)
 入学前に偶然知り合った友達が同級生になり、3人で微妙に噛み合わなくても楽しく学園生活を送る日常学園ショートコメディ。
 今期も5分アニメは結構あったのだが、食指が伸びたのはこれだけ。ただこれもキャラ画が突出するだけでストーリーは薄く、声優も主役は全員新人で演技もたどたどしく、ヒット性には乏しい作品だった。むしろこれより悪い作品が4作もあるのが驚き。

「デート・ア・ライブ」(AT-X 全12話 原作:橘公司 製作:AIC Plus+)
(3.7、3.9、3.5、4.2、4.0、4.1、3.4、3.8; 30.6pt)
 続発する空間震に対処するために、その原因となる精霊の怒りを沈めるために主人公が精霊とデートすることを強いる組織ラタトスク。その一方で精霊を排除することこそ対策としてそうと知らずにラタトスクと衝突するAST、さらには主人公を取り合うことになる精霊たちの間で巻き起こるハチャメチャバトルラブコメ。
 今期幅を利かせるラノベ原作の1つ。ただ、世界を揺るがす大事件が発生している割には対応する側の危機感を感じ取れないまま話が進むという違和感。そしてヒロインと思しき面々の全てが我が侭で自分勝手。それで話が面白くなるならともかく、自我の押し付け合いなうえに受ける側の主人公も主体性が無い(最後は自らの意思で行動したが)など、好きになれないタイプのキャラばかりだった。特に違和感が強かったのが、主人公が流れ弾に当たって死んでしまい悲壮感が漂う中ケロリと生き返ったのだが、その理由を「ゲームだから」とのたまわられたこと。ゲームと現実の混同を最悪の形で表現したこのシーンは未だに納得が行っていない。

「波打際のむろみさん」(AT-X 全13話 原作:名島啓二 製作:タツノコプロ)
(3.5、4.1、3.9、3.8、4.0、3.8、3.6、3.7; 30.4pt)
 港で釣りを楽しんでいたら突如現れた人魚のむろみさん(田村ゆかり)に一目惚れされ、つきまとわれることになった主人公とむろみさんの、地球規模で歴史的な出来事を面白おかしく描いたスペクタクルオーシャンコメディ。
 実は強大な力をもっていたというむろみさん等人魚たちのぶっ飛んだ行動の結果が歴史上の重要な事件や現象につながるという世界観の表現は面白いが、ぶっ飛びすぎていて事実の根底を突き詰めるのが野暮という気にさせられる。結果として話が薄っぺらく、ただ馬鹿騒ぎしているのを眺めているだけという見方しか出来なかったのが残念なところ。開始前は期待していたんだけどなぁ。

「やはり俺の青春ラブコメは間違っている」(BS-TBS 全13話 原作:渡航 製作:ブレインズ・ベース)
(4.0、3.8、3.3、3.8、4.0、3.7、3.7、3.8; 30.1pt)
 周囲の充実ぶりから逃げるように人との接触を避ける主人公が、そのひねくれた性格をみかねた教師によって奉仕部に入れさせられ、その奉仕部の万能少女と露骨に嫌がりながらも問題を孕んだ依頼をこなしていくひねくれお助け学園コメディ。
 コメディとは書いたが、ラノベ原作の割にはかなり真面目に学校生活の暗部に焦点を当てたストーリー展開をしており、主人公たちの考え方が歪んでいるせいですっきりしない解決もしくは解決しないため、見ていて不快感がことのほか強かった。とにかくどのキャラも人間性が酷いとしか言いようが無く、たとえ現実はそうであったとしてもそういった人間性をアニメで表現してはいけないと思う。中学生日記を見てるわけじゃないんだから。。。同じラノベ原作で出演者がかぶる同時期放送の「は魔王」と比較されがちで、売り上げ的には効果があったようだが、作品の質としては見るも無惨な差が出来てしまった。

「よんでますよアザゼルさんZ」(AT-X 全13話 原作: 製作:J.C.Staff)
(3.6、3.3、3.7、4.0、4.1、3.6、3.8、3.8; 29.9pt)
 悪魔と契約を交わし使役させる芥辺(浪川大輔)とその事務所のバイト佐隈りん子(佐藤利奈)、そして契約を交わした悪魔たちによるドタバタを描いたコメディの第2弾。
 前作はそのスピード感が見ている方を釘付けにさせる効果があったが、今期は中途半端にストーリーを組み込んだせいでテンポが悪く、ボケとツッコミのキレも無かった。しかしそんなことよりも今期の酷い所はとにかくシモの表現が露骨で不快だったことに尽きる。
by mfbox | 2013-07-23 01:18 | オタクゴタク(語託) | Comments(0)