人気ブログランキング | 話題のタグを見る

10月29日 17年夏期のアニメ評価

 やっと完成しました、今夏のアニメ番組評価です。この夏は作品数は割と絞れた方で、その分各アニメに没頭することが出来たと感じています。それはポイントの分布にも現れていて、34ポイント台が4作、32.5ポイント以上も12作(8割)と、かなり充実の結果でした。加えて、1月に切っていた某作品が実はとんでもない高評価だったといういい意味でのショックもありました。以下、今期の番組の視聴後評価です。

「NEW GAME!!」(AT-X/BS11 全12話 原作:得能正太郎 製作:動画工房)
(4.2, 4.3, 4.1, 4.5, 4.2, 4.8, 4.6, 4.0; 34.7pt)
 高卒でゲーム会社に就職を果たした涼風青葉(高田憂希)が、先輩・上司に加えて後輩とも関係を紡ぎながら、自らの案を元にした新たなゲームを、また違った気持ちで作りあげる様子を描いたゲーム開発お仕事コメディの第2弾。
 きららキャラットの人気作が1年という早いサイクルでの2期放送となった。動画工房による絶品の萌え作画もさることながら、責任のかかる立場となった青葉のゲーム作りにかける熱い想いがより前面に出て、周囲の同僚に与える影響も表現された深みのある作品に仕上がった。
物語:コミカルな雰囲気の中にも、ゲーム作りの厳しさも垣間見えるいかにもお仕事作品らしいストーリーだった。
世界観:1期で描かれた制作現場の雰囲気に加え、新たなゲームの内容を、これから作り上げるということもあって割と詳細に描き、ゲームクリエイトという所がより注目されるような構成だった。
人物:内面の性格から全肯定的に好きなキャラクターは実はあまりいない。ねね(朝日奈丸佳)や新キャラの後輩などチクリとくる性格や行動もあったりする。
作画:きらら作品伝統のキャラクター重視の作画力が光る。作中ゲームのキャラクターも萌え要素が大きく、可愛さに特化した動画工房の作画力を改めて認識した。
声優:1期で新人だった声優もすっかり馴染み、この面子でなければという感じになって来た。追加キャラは名塚さんがいるものの無名が多い。
魅力:後輩キャラの取っ付きにくさやプライドの高さは本来マイナス要素だが、原作で知っていたのと、やはり作画要素での可愛さがそれを上回った。
主題歌:OP「STEP BY STEP UP↑↑↑↑」(4.8)、ED「Jumpin’ Jump UP!!!!」(4.4)、「ユメイロコンパス」(4.2)(全てfourfolium)。既にすっかり市民権を得たfourfoliumが主題歌でも大活躍。OPはただただ元気な歌で、きららフェスタで初披露された時もとてもいい印象だったので、その通りになった感じ。EDはノリの良い曲調に合わせてデフォルメキャラのジャンプする所が非常に可愛く描かれているのが印象的。後輩登場後は変更になり、落ち着いた雰囲気はfourfoliumの新たな可能性を感じられた。
劇中音:あまりBGMを気にすること無く視聴していた感じがする。新作ゲームの効果音などがもっとあっても良かったように思う。

「メイドインアビス」(AT-X/BS11 全13話 原作:つくしあきひと 製作:キネマシトラス)
(4.4, 4.6, 4.1, 4.5, 4.1, 4.1, 4.6, 4.2; 34.6pt)
 巨大な大穴「アビス」とアビスの縁に広がる町、その住人たちが未だ多くの秘密を抱える大穴の探掘を生業する世界で、訓練を兼ねて穴の最上層を探掘中だった駆け出しの少女リコ(富田美憂)は、巨大生物に襲われそうになった所を少年の姿をした意志のあるロボットのレグ(伊瀬茉莉也)に助けられる。大穴から帰還した探掘家が持ち帰ったリコの母親からの手紙を見て深淵へ向かうことを決意したリコが、レグとともにアビスの底へ向けて潜り続ける過酷な旅を描いた異世界アドベンチャーファンタジー。
 いかにも冒険ものらしい型に嵌った作品で、次々と襲い来る未知の生物や構造などが、新しいものを吸収したがる視聴者の心を見事に掴んだと言って良いだろう。一方通行の旅であり、リコとレグ以外は出会いと別れの繰り返しとなってしまうのだが、それさえも後戻り出来ない命がけの旅というのを引き立てている。当初から作画力の凄さを指摘する声があり、緩い感じのキャラクターからは想像もつかなかったのだが、下層に下りるほど過酷になって行く表現が確かに卓越していた。ややレグのオーバースペック感を感じないわけではなかったが、それ以上に引き込む世界観が凄かった。
物語:深淵を目指すという点は一貫しているので、非常に分かりやすいストーリーとなっている。冒険の過酷さが見ていても結構堪えるが、これもまた物語構成に妥協のない証拠。
世界観:この作品でしか味わえない独特の世界観を見事に表現している。物語の進行とともに、次は何が登場するのだろうかと常にワクワク感を提供してくれている。
人物:探掘家の全てが純粋な想いではないことを思い知らされるエピソードもあり、許容出来ない人間性の持ち主もいる。そういう所をきちんと表現しているのもまた物語としては優秀なのだろう。ナナチ(井澤詩織)はもっと早く見たかったな。
作画:始めにも書いたが、アビスの内部構造は完全オリジナルにも関わらず、繊細な表現で見事に描いている。終盤まで崩れもなく、独特の雰囲気を良く描ききった。
声優:3期連続でメイン級を当てた富田さん(ガヴリール、くいな)をまずは上げておくべき。その他中堅どころが中心で声優構成としては無難な印象。
魅力:キャラクターを可愛らしく描こうとしているのは、ストーリー全体に流れる過酷さとの対比を効果的に狙ったものとは思うのだが、萌え作画としては微妙にこれじゃない感を持った。
主題歌:OP「DEEP IN ABYSS」(リコ(富田美憂)、レグ(伊瀬茉莉也))(4.8)、ED「旅の左手、最果ての右手」(リコ(富田美憂)、レグ(伊瀬茉莉也)、ナナチ(井澤詩織))(4.4)。OPは冒険に挑む決意が現れた哀愁の中に力強さを含んだ素敵な楽曲。ハナヤマタOPほどでは無いが、一聴してビビッと来るものがあった。EDは逆に行進曲風に明るく、未知の先へ進むワクワク感が表現されている。
劇中音:作品の独自性が強く、BGMからもそれは色濃く感じられた。

「ナイツ&マジック」(AT-X/BS11 全12話 原作:天酒之飄 製作:エイトビット)
(4.4, 4.5, 4.2, 4.4, 4.1, 4.4, 4.2, 4.1; 34.3pt)
 ロボットをこよなく愛するプログラマーの男は、勤め先からも大きな期待を受けていたが、不慮の事故により亡くなってしまう。しかし、天国ではなく異世界で幼男に転生した彼が、エルネスティ・エチェバルリア(高橋李依)として、転生前から引き継いだその類い稀なる才能をフルに生かして転生先の国の古代ロボットに革命的進化をもたらし、強大な敵国との戦闘で活躍する姿を描いた異世界ロボットバトルアニメーション。
 まず視聴者の度肝を抜いたのが展開の早さ。1話で1年とかあったりする位で、次々に新しい展開が訪れ、またロボットの性能も進化して行くのは、見ていて爽快。展開が早い作品では話の理解が十分に出来ず後半ほど理解出来なくなるといった声も良く聞くが、この作品においては、性能向上のための模擬戦と魔獣や敵国とのロボットバトルに特化しているので、話が単純で、展開の早さに関係なく分かりやすかった。出演声優や主題歌アーティストなどから、大コケ作の「コメットルシファー」の影がどうしても拭いきれなかったが、終わってみれば見事にリベンジ達成でホッとした。
物語:ややアウトローではあるが、ロボットバトルものとして純粋に楽しめた。主人公の異世界転生も、ロボット技術の飛躍的向上に大きく寄与しており、無駄な設定になっていない。
世界観:古代遺跡世界の様子が良く描かれ、その前時代的世界の中に飛び抜けた才能が飛び込んで、華麗なブレイクスルーを生み出す様子が際立っている。
人物:次々と革命的なことをやってのけるエルくんの生き生きとした表情がたまに恐怖すら感じさせるが、そのくらい人物表現に長けていたといえよう。
作画:人物の表情はもちろんのこと、ロボットの動きも初めはぎこちなさを敢えて表現し、性能向上とともに繊細な動きを見せるなど時系列変化も加味した作画力も見せている。
声優:とにかくエルくんのキャラクター性がずば抜けていたせいで、他のキャラクターはその他雑多という感じになってしまう。その影響をもろに受けたのが声優の評価で、多彩な声優陣だったはずだが印象が薄い。
魅力:ロボットにフィーチャーされてはいるが、幼少からの友情や各キャラの表情、女王とのメルヘンなど抑える所はしっかり抑えており、それぞれに魅力を発揮している。
主題歌:OP「Hello! My World」(fhana)(4.7)、ED「ユー&アイ」(大橋彩香)(3.7)。OPはfhanaらしいスピード感溢れる快活曲。間奏のかけ声がいい感じにリズム取りの役割を果たしている。EDは特筆することのない声優アイドル楽曲。
劇中音:魔法発動や戦闘シーンが多く、詠唱やメカの駆動音などBGMはそれなりにせわしかった。なお、途中からOPに効果音がついたが、あれは要らん。

「プリンセス・プリンシパル」(BS11/AT-X 全12+1話 オリジナル 製作:Studio 3Hz/アクタス)
(4.4, 4.4, 4.1, 4.4, 3.9, 4.5, 4.3, 4.0; 34.0pt)
 東西に分裂したロンドンの町は各国のスパイが暗躍する異様な状況にあった。その中で、齢17の少女でありながら卓越したスパイ技術を持つアンジェ(今村彩夏)は、自分と顔が瓜二つのプリンセス(関根明良)と入れ替わるミッションを受けるが、プリンセスと接触したアンジェは仲間に入れてほしいという意外な提案を受ける。そんなアンジェとプリンセスには2人だけの秘密があった。彼女らシニアスクールを隠れ蓑にスパイ活動に勤しむ少女達の、ガールズスパイアクション。
 古くは「ノワール」から始まるスパイアクションものは、昔からいまいちヒットに繋がらない呪われたジャンルとも言われ、今回もヒット性を疑問視する声もあったが、始まってみるとみるみる評判が上がり、結構な話題作となった。スパイながら5人構成という点、王女を巻き込む作戦、それぞれが抱える過去の秘密など、巧みに興味を惹きつつ、萌えとアクションが見事に調和した面白い作品に仕上がっている。
物語:スパイものらしい手のひら返しや裏切り、突発的行動や無理難題な指令など、先の読めない物語が多く、見ていて飽きることがなかった。
世界観:やや古めかしい近代欧州の風景や、スパイの暗躍するダークな雰囲気が良く描けている。
人物:プリンセスの振る舞いが混乱を巻き起こしたり、一方で内に秘めた強い信念も感じられ、プリンセスを中心に見ていくことでキャラクターの意外な相関を知ることが出来る。
作画:人物描写は基本5人に視点を向けるよう5人以外の萌え描写は控え気味で、その分他キャラの表情は割とリアル。外の風景は夜が多くあまり印象に残りにくいが、パーティー会場など燈のある所の描写は時代を感じさせる。
声優:主要キャラのキャストが弱い。これからなのだろうが、本作を踏み台にして今後活躍してほしい。
魅力:主要キャラの華麗さが光る。萌え要素ももちろんだが、スパイならではの華麗な動きや機転など、見どころがいっぱい。
主題歌:OP「The Other Side of the Wall」(Void_Chords feat. MARU)(4.3)、ED「A Page of My Story」(アンジェ(今村彩夏)、プリンセス(関根明良)、ドロシー(大地葉)、ベアトリス(影山灯)、ちせ(古木のぞみ))(4.3)。OPはゴスペル系の力強い歌声にストリングスが効果的な楽曲で、話の盛り上げに一役買っている。EDは主要キャスト5人による小気味良い合唱曲で、映像のデフォルメキャラのコミカルな動きとも合ってとても和む。
劇中音:ケイバーライト(空中浮遊装置)が多用され、応じた効果音はあるが、他のBGMに印象的なものはない。なお、ベアトリス(影山灯)の変声は話しているので効果音には当たらない。

「天使の3P!」(AT-X/BSフジ 全12話 原作:蒼山サグ 製作:Project No.9)
(4.1, 4.0, 4.1, 4.3, 4.0, 4.7, 4.0, 4.1; 33.3pt)
 類稀な作曲能力を持ちながら、ひきこもりで投稿活動を続ける貫井響(井上雄貴)のもとに届いた1通のメールから、身寄りのない子を引き取る養護施設で密かにバンド活動をしていた3人の小学生の女の子達と邂逅する。響の曲に感銘を受けたという五島潤(大野柚布子)の求めに応じ、3人のプロデュースをすることになった響とガールズバンドの、音楽への強い想いとライブ活動を描いたロリポップガールズバンドアニメーション。
 「ロウきゅーぶ」の蒼山サグ先生による新たなジャンルのロリガール物語で、こちらも原作は人気作。行き着く所はやっぱり「小学生は最高だぜ!」なわけだが、声優キャスティングなどに「ロウきゅーぶ」を匂わせつつ、音楽という異なる方向性から、小学生を描いて行こうというもの。とは言っても、結局は似た方向性に進むわけで、対比は免れない(むしろ対比してくれと言わんばかり?)。「ロウきゅーぶ」や本作を好きになる時点でロリコン決定な訳だが、楽しければそれでもいいじゃないか(爆)。
物語:正直順風満帆過ぎるきらいはあるが、ロウきゅーぶのバスケチームよろしく、才能ある青年を指導者に、小学生でロックバンドを大成して行こうという流れは理解しやすい。
世界観:ロックバンドのライブなのに教会とか神社の特設ステージとか雰囲気が合わない。常識的に無理なのは分かるが、ライブハウスのような演奏に相応しいステージがないのが残念。
人物:潤やそらなど純情な子を除くと、やや性格に難あり、またはめんどくさい子が多い気がする。また、不登校キャラが多いのもよろしくないかな。
作画:主要メンバー達の作画は萌え特化で十分。背景は物語がやや迷走した影響で演奏を引き立てるものになっていたかは疑問。終盤は作画が保たなかったのが目に見えて残念。
声優:主要メンバーは新人声優が大半。ロウきゅーぶとは作者繋がりなので、伊藤かな恵はじめ関連声優が何らかの形で出演しているので探すのも面白い。
魅力:ロリコン度が試される小学生の萌えがこれでもかと振りまかれ、自分の心の中で何らかの修行が行われていた(爆)。
主題歌:OP「始まりのバースデイ」(4.2)、ED「楔」(3.7)(共にBaby’s Breath(五島潤(大野柚布子)、紅葉谷希美(遠藤ゆりか)、金城そら(古賀葵)))。OPは主要メンバーによるバンドの爽やかな明るい楽曲。CDの名義と作中のキャラ達のバンド名が異なる謎もある。EDはロック色が強く出過ぎて、正直この作品には合ってない気がした。
劇中音:劇中バンドが奏でる楽曲は年相応の可愛さを含んだ楽曲揃いで、なぜEDもこの路線で行かなかったのかと。

「僕のヒーローアカデミア2」(STV 全25話 原作:堀越耕平 製作:BONES)
(4.2, 4.3, 4.0, 4.2, 4.2, 4.0, 4.2, 4.1; 33.2pt)
 生来無個性だったがオールマイト(三宅健太)の能力を引き継いで能力を得た緑谷出久(山下大輝)が、その個性の制御のために努力しながら、ヒーロー学校UA高で他のヒーロー達と時に争い時に協力しながら、学園バトルの頂点を目指したり敵勢力との過酷な戦いに挑むグローアップヒーローバトルファンタジー。
 まさかの放送局移動により再開したヒロアカ2期は、加えてまさかの2クール、とまずは放送体制で驚かせてくれたが、内容はしっかり続き物で、長いスパンで様々な競争や戦いを見せてくれ、バラエティのある内容で6ヶ月間楽しませてくれた。敵との戦いはほぼヒーロー殺しステイン(井上剛)との戦いに絞られ、強大化する敵勢力を前にヒーロー達の成長を急がせるようにUA高や職場体験でのシーンが中心となった。最終話後には早くも3期の告知がでて、いよいよ敵勢力との争いが描かれるので、大事な2クールだったと言える。
物語:体育祭、職場体験&ヒーロー殺しとの争い、期末試験と、2クールの中でバラエティに富んだ話の選択だった。ややUA高寄りだったのは今後に向けての布石とも捉えられる。
世界観:2クールになったことでヒーロー科の仲間達も個別に取り上げられる機会が増え、より多くの能力登場でファンタジー感も増し増し。
人物:お茶子(佐倉綾音)のように出久くんに真直ぐに接するキャラは希有で、執念をさらけ出したり秘めた想いを心に抱えるキャラが多い。たまにそれが醜く感じる場合もあった。
作画:そもそものキャラデザから崩していたり、動きが激しいことで表情を歪ませられるキャラも多いが、やり過ぎというレベルまでは今回は至っていなかった。
声優:キャラ数も多くなって来たため、有名声優が起用されていても登場機会が限られることもあるが、声優の充実度は比較的高い。
魅力:元々魅力を感じにくいキャラデザであり、あとは各キャラの心の持ちようで魅力は図られる。
主題歌:OP「ピースサイン」(米津玄師)(3.9)、「空に歌えば」(amazarashi)(4.3)、ED「だからひとりじゃない」(Little Glee Monster)(3.9)、「だってアタシのヒーロー」(LiSA)(4.6)。1期では一般アーティストからポルノを採用したOPだが、今期は新進気鋭な2組が、それぞれのイメージを覆すような楽曲を聴かせてくれた。EDは一般系のLGMの曲も爽やかで良かったが、LiSAはやはりアニソンアーティトとしての貫禄を感じさせる良曲。
劇中音:激しい戦闘が続くので、爆発音を中心に効果音が活躍する場面が多かった。

「ゲーマーズ!」(AT-X/BS11 全12話 原作:葵せきな 製作:Pine Jam)
(4.2, 3.9, 4.2, 4.2, 4.1, 4.3, 4.1, 4.2; 33.2pt)
 趣味のレベルながらゲームに心酔する雨野景太(潘めぐみ)は、学園の美少女と名高く憧れでもあった天道花憐(金元寿子)にゲーム部に誘われる。しかしゲーム部のガチな雰囲気を許容出来ず、苦悩の末入部を断った景太だったが、何故か様々なすれ違いを経て天道含めたゲーム好き同士が語り合う流れに巻き込まれながらも、気持ち悪いまでの自己主張を公言しながらスリリングな友達関係を築いていく青春すれ違い勘違い系ゲームラブコメ。
 見終わって最初に思ったのは、タイトル切りしなくてよかったというホッとした想い。初めにゲーム部に入ってゲームの楽しさを云々と説明されるようなストーリーだったら即切りだったが、雨野っちがまさかの「だが断る!」で終わった第1話で何か違うことが起こりそうと見続けていたら、勘違いすれ違いの嵐でどんどん話や関係性がこじれて行き、有り得ないほどにこんがらがった糸が最終的に繋がっているような、恐ろしいほどの確率で何とか上手くいっている感じがこの上なく面白く、ゲラゲラ笑っていた印象が強い。ところで、碧陽学園の名前が出て来るが、原作者の出世作「生徒会の一存」の舞台設定である北海道との関連性は触れられていない。
物語:ゲームとしてではなくこじらせラブコメとして見る必要はある(まぁタイトル詐欺だよね)が、これだけこんがらかったストーリーを破綻無く作ったという点では評価すべきだろう。
世界観:ゲームを話題にしたり時折プレイ中のシーンを出したりはしているが、全編通じてゲーム語りと勘違い恋愛解析に充てられ、端から見れば普通の高校生活を描いているに過ぎない。
人物:主要キャラ5人がいろいろ考えて、結果考えていたこととは大凡あさっての方向に向かうということの繰り返しだが、それだけ考えまくっているというのがモノローグからもわかる。
作画:何となく型落ち感のある萌え絵という感じで微妙という感じを受けるが、おそらく狙ってやっているのだろう。そんな絵で最後まで通しているのもまたすごいというか。。。
声優:なぜ雨野くんのCVを潘さんにしたのか、その意図は読み取れないが、結果合ってはいた。金元、大久保といった好みの中堅どころはいるが、キャラ数も少なく他は小粒な評価。
魅力:散々こじらせてはいるが、ヒロインは3人とも誰かに恋しており、恋する乙女は可愛いというのは見て取れる。
主題歌:OP「GAMERS!」(天道花憐(金元寿子)、星ノ守千秋(石見舞菜香)、亜玖璃(大久保瑠美))(4.4)、ED「Fight On!」「恋のPrologue」(共にLuce Twinkle Wink☆)(3.8/3.7)。OPはヒロイン3人による小気味良いポップソング。ゲームアニメらしいピコピコ音がいい効果を見せていた。EDはアニメ主題歌ではすっかりおなじみとなったルーチェの第3弾。ポップ調に仕上げてはいるが特徴的な要素は抑えめ、というか地味?。
劇中音:ゲーム作品故の効果音のこだわりもあるし、とにかくくるくる転がる話の展開に合わせてBGMも大胆だったように思う。

「サクラダリセット」(BS11/AT-X 全24話 原作:河野裕 製作:david production)
(4.1, 4.3, 4.0, 4.2, 4.1, 4.0, 4.3, 4.1; 33.1pt)
 咲良田、そこは望んだ願いに応じた個別の能力を持った住人が暮らす街。中学時代に、家出する形で両親に黙って咲良田に入り、完全記憶能力を手に入れた浅井ケイ(石川界人)が、時間を巻き戻す「リセット」の能力を持つ春埼美空(花澤香菜)と協力して、咲良田の能力に絡んだ様々な事件に対峙する異能力スクールライフファンタジー。
 この作品もある意味タイムリープものの1つであり、主人公ケイと美空の能力はシュタゲにおける岡部のリーディングシュタイナーと電話レンジ(もしくはDメール)に相当する。ただあまりにもあっさりに巻き戻るので、場合によっては命を賭しての決死作戦すらもそのシリアスさを感じさせないくらい。そのあっさりさを際立たせるもう1つの要因が、ケイや美空の感情の起伏の希薄さにある。物語上ではこうした感情の弱さを突いて様々なピンチを見せるのだが、それすらも焦りや激情を見せることはない。これは逆に強い意志を持っているからこそでもあるのだが、そのまた逆に物語としての起伏まで奪ってしまっていたのかもしれない。つまりは、淡々と物語が進んでいつの間にか終わってしまい、あまり感想らしい感想を持てなかったアニメであった。
物語:各キャラの能力に応じた舞台、物語が用意されていて、物語構成は割と緻密に練られていたのが窺える。
世界観:咲良田の街でしか能力が使えないというのが時折強調されており、これを利用するシーンも一部にあるが、この設定により基本咲良田の中で話が完結しているのは巧い。
人物:主人公サイドの性格が淡白なため、全体的に人間味に乏しい感がある。
作画:全編通じてとりとめのない感じの作風で、特徴的な要素はないが、崩れもない。
声優:一応人気声優は揃っている感じだがいずれもお堅い感じで、ポイントアップに繋がるようなアクセントのある声優の存在がない。
魅力:各キャラの表情にあまり生気を感じない。感情の淡白さは表情の表現が弱いことの証明でもある。
主題歌:OP「Reset」(牧野由依)(4.7)、「だから僕は僕を手放す」(Weaver)(4.2)、ED「トナリアウ」(The Oral Ciggaretts)(3.9)、「Color of Happiness」(牧野由依)(4.1)。第1OPは牧野由依の繊細さが表に出た素敵な楽曲。他は聞いてて嫌な気分にならない程度には良曲という程度。
劇中音:能力の中にはインパクトのあるものも多く、そういった能力の発動時には効果音が威力を発揮した。

「バトルガール ハイスクール」(BS11/AT-X 全12話 原作:コロプラ 製作:Silver Link.)
(3.8, 3.9, 4.1, 4.3, 4.4, 4.5, 4.0, 4.0; 33.0pt)
 正体が謎の敵「イロウズ」と戦うため、神樹に守られた神樹ヶ峰女学園で、その神樹に選ばれた特殊な力を纏って戦う星守と呼ばれる女生徒達がいた。学園で星守クラスに所属する彼女等に新たにミサキ(高橋李依)という女生徒が加わったが、ミサキは強い力で敵を排除するも個人プレイに走り、他の星守は困惑する。そんなミサキと打ち解けるよう努力しながら、どんどん強大化して行くイロウズとの戦いの日々を描いたガールズ異能バトルファンタジー。
 ソーシャルゲーム界では数多く存在するガールズバトルものの人気作で、やはり萌えと声優の力は侮れず、今冬の同類作「スクールガールストライカーズ」を上回って来た。正直スクストの方が展開的には好きなのだが、声優の充実差が2作の勝敗を分けた。とは言っても、異世界異能力ガールズバトルものも正直食傷気味で、話そのものを楽しんでいたかと言えば疑問符が付く。
物語:敵が本来の仲間を洗脳するというスタイルは既にアンジュヴィエルジュで見た手法であり、新鮮みを感じない。精神入れ替わりなどコメディ部分は評価出来る。
世界観:敵が異世界から侵攻するというのはスクストと全く同じ。これも本作ならではというものがない。
人物:18人も星守がいたら、まず顔と声優が一致しないし、個々の性格把握まで気が回らない。主要人物の心情はきちんと描かれているが、その分割りを食ったキャラも多い。
作画:キャラクターの表情を崩すこと無く、激しい戦闘シーンもきちんと描ききっている。
声優:ソシャゲにおいても声優人気の重要性がポイントとなっているが、本作はそれをそのまま持ち込んでおり、今期の作品の中でもトップクラスの充実度。
魅力:こういった美少女ソシャゲにおいてはストーリーやバトルよりもキャラの萌え度の方が人気に繋がる。アニメにおいても全話にわたって崩れなく可愛く描かれていた。
主題歌:OP「ホシノキズナ」(神樹ヶ峰高校星守クラス)(4.0)、ED「Melody Ring」(f*f(煌上花音(本渡楓)、国枝詩穂(下地紫野))(4.0)。OPは星守クラス全員の歌唱、EDはf*fの代表曲という扱い。共に躍動感のあるノリノリな曲。
劇中音:作中でライブも行う人気ユニットとしてf*fの存在が大きく、ED以外にも格好いい曲を歌っている。

「Re;Creators」(BS11/AT-X 全22話 原作:広江礼威 製作:TROYCA)
(4.3, 4.3, 4.0, 4.1, 4.1, 4.0, 4.2, 4.1; 33.0pt)
 創作活動に理解のある少年水篠颯太(山下大輝)は、あるアニメを見ている最中に、突如そのアニメの世界に巻き込まれたかのようにそのアニメのキャラクターと見知らぬキャラクターとの戦いに巻き込まれる。そしてそれは現実世界に顕現し、他の様々な創作作品のキャラクターまでが現出し大騒動になる。一旦は矛先を収めたキャラクター達が創造主たるそれぞれの原作者や颯太と共に、あるいは敵側について、それぞれの作品世界への帰還を望みながら、全ての破壊を望む正体不明の軍服の姫君(豊崎愛生)との争いに身を投じるクリエートキャラクターバトルファンタジー。
 創作物の現実化という視点はなかなか面白いところを突いたと関心したが、考えてることが難しすぎるメテオラ(水瀬いのり)や逆に感情任せで聞き分けのないアリステリア(日笠陽子)などキャラの性格も発散傾向で、纏まる話も纏まらず、盛り上がりに欠けた。後半はエリミネーションチャンバーフェスという戦いの場を設けていよいよ明確なバトルモードへとシフトしたが、結果的にはほぼ全てのキャラが軍服ことアルタイルから離れるキャラクターバランスの崩壊、それでもまだアルタイルに有利なパワーバランスの歪みと、終盤に向けても盛り上げているようでどうにも混乱してるように感じられた。一方で築城院真鍳(坂本真綾)の言霊反転能力で主人公の作る設定が承認力を無視して有効化したことで、物語の結末が安易に想像出来てしまったのは正直よろしくない。
物語:22話という短い期間のなかで、それぞれの物語内物語やその設定をきちんと提供出来ていたのは特筆に値する。
世界観:複数の創作物の顕現というありそうでなかった設定が現実のものとなったことは素直に喜びたい。
人物:登場人物の特徴はそれぞれにあるのだが、それらが物語の収斂に向けて役立って行くようには到底思えなかった。
作画:キャラによっては思い入れがあるのか、こだわりの作画が見られたりもしたが、主人公や各原作者などの表情は意図的かもしれないがいまいち。時折崩れていたのも気になる。
声優:登場キャラクター数が多い割には豪華とは言い難い声優陣。鈴村&坂本の夫婦が作内ではバトってるのがちょっと面白かった。
魅力:作内ではまみか(村川梨衣)だけが萌え寄りに浮いた形。現実世界の人間達はリアルを追求しすぎて魅力が根こそぎ失われている。
主題歌:OP「GravityWall」(4.8)、「shOut」(4.0)(共にSawanoHiroyuki[nZk])、ED「Newlook」(綾野ましろ)(4.2)、「ルビコン」(三月のパンタジア)(3.8)。作品内音楽の総合プロデュースも担当している澤野さんのプロジェクトが前後期にわたってOPを勤めた。バトルを中心とする作風に沿った激奏感が良くにじみ出ている楽曲で、特に前期(フルはSMEで初視聴)はかなり嵌った。EDは前後期で雰囲気を一変。キャラ紹介的に明るさを追求した前期の綾野曲はなかなかのポップさの一方、戦闘に伴うシリアスを追い求めた後期はしんみり感が強い。
劇中音:様々な武器が登場し、バトルものを感じさせる戦闘時の効果音も多彩だった。

「サクラクエスト」(AT-X/BS11 全25話 原作:Alexandre S.D. Celibidache 製作:P.A.Works)
(4.1, 4.2, 4.2, 4.1, 4.0, 4.2, 3.9, 4.0; 32.7pt)
 憧れの東京生活を求め就職活動をしていたが全敗し、町おこしの一環で国王になってほしいという派遣事務所からの依頼を受けて向かった間野山で、人間違いされたあげく予定外の1年契約での住み込みを余儀なくされることとなった木春由乃(七瀬彩夏)が、荒廃した街の活性化のため、仲間4人と協力して町おこしに繋がる様々な仕事をこなしていくガールズ町おこしワーキンググラフィティ。
 P.A.Worksのお仕事シリーズ第3弾と銘打っておきながら、まんがタイムきららの萌え力にもすがるという、両取りを試みてもろともこぼれ落ちたという感じのどっちつかずなアニメだった。お仕事アニメという点では、コンセプトは悪くなかったが、特に活気が戻るような発展も無く、現実に促し過ぎて話がこれっぽっちも盛り上がらなかった。きらら要素については、連載していたわけでもなく完全に後付けで、作画は割とまともながら萌え度が足りないし、キャラクターに寄ってもシリアスに取り上げられるのできらららしさは皆無だった。ポイント的には低評価というわけではないが、迷走の結果の没落と言った感じ。
物語:町おこしに奮闘するというコンセプトは間違ってはいない。ただ、それによって大きなプラス要素が生み出されなければその奮闘は無価値と一緒。
世界観:田舎の寂れた商店街というのはきちんと描けていた。描きすぎて見ているこっちの心まで寂しくなってしまいそうだけど。あと間野山が北陸地方だったのは終盤の会長が「金沢まで行って来る」という発言まで分からなかった。
人物:最初は不満もあった由乃や他の仲間が、それぞれに苦悩を伴いながら真面目に町おこしに取り組む姿勢は好感が持てた。
作画:P.A.ご自慢の作画力が本作ではいまいち発揮出来ていなかったように思う。大崩れした場面はないのだけど、全体的にキャラの表情が弱い。きららを語っておきながらこの程度かと。
声優:上田麗奈とかいるんだけど、個人的に好きな声優はあまり入っていなくて、声優の面子的には弱いかな。
魅力:一応どのキャラクターも表情は硬めだけど整った作画にはなっているので、この程度。
主題歌:OP「Morning Glory」(3.9)、「lupinus」(3.9)、ED「Freesia」(3.9)、「Baby’s Breath」(3.9)(いずれも(K)Now_Name)。(K)Now_Nameはグリムガル以来の作品楽曲全担当。ただ、作品同様どの曲もいまいち盛り上がりに欠けた。
劇中音:織部凛々子(田中ちえ美)の「龍の歌」は物語の中でも伝承に絡む重要な要素となっている。それ以外は特筆すべきものはない。

「アクションヒロイン チアフルーツ」(BS-TBS 全12話 オリジナル 製作:ディオメディア)
(4.0, 4.1, 4.0, 4.4, 4.0, 4.3, 3.7, 4.1; 32.6pt)
 町おこしに出遅れ、その影響で祖父が建設した思い入れのある文化ホールが廃館の危機であることを知った政治家家系の女子高生城ヶ根御前(M・A・O)は、県知事の母親の煽りもあって町おこしプロジェクトに奔走する。その1つとして、流行となっていたアクションライブを町おこしの一環として立ち上げ、体操の才がある赤木杏(伊藤美来)らと共に、初めは既存の劇団のまねごとから始まり、遂にはオリジナルのヒロインもので人気を勝ち取るまでを描いた町おこしヒロインアクションライブグラフィティ。
 こちらも当初は視聴予定になかったものだが、元々キャラ絵が気になっていた所に先行放送組から「ろこどる」要素があるとの情報を受けて見始めたもの。比較対象が「ろこどる。」になってしまったため、物足りない感はいっぱいであるが、アクションヒロインというジャンルはこれまでにないもので、独自性は発揮出来ていたと思う。ヒーローショーものなので、先の展開が読みやすいのと、何度かショーそのものを十数分放送することがあって、見ていて気恥ずかしくなる時もあった。
物語:アクション劇団に取り組む女の子達の奮闘ぶりは盛り上げに貢献している。ただ、町おこしとヒーローショーがなかなか結びつかず、各々を楽しむのに終始してしまった。
世界観:アクションヒロインというのは現実的にはなかなか見当たらない独自性があるが、それを除けば良くも悪くも田舎の日常風景の域を脱しない。
人物:それぞれの得意分野を持ち寄ってショーの完成度を高める過程で各キャラの個性が発揮出来ていた。悩ましかったのは不幸体質を気にしすぎて逆に迷惑をかけた度重なる御前の逃亡。
作画:時折作画の乱れが目につく所はあったが、ヒロイン達の表情やアクションシーンでの動き(女子校生なので無理はさせていないというのも分かる)がなかなか良かった。
声優:伊藤美来が主役を張っているのは「ろこどる」つながりなのだろうか。その他キャラクターの数は多いが、声優の面子としては知名度がやや低い。
魅力:ヒロイン達の萌えポイントに依る所が大きい。劇団をやっている設定上、アクタースーツへの着替えなど、衣装替えが多いのも割と眼福。
主題歌:OP「情熱フルーツ」(3.7)、ED「陽の当たる場所」(3.7)(共にトキメキ感謝祭(城ヶ根御前(M・A・O)、赤来杏(伊藤美来)、黒酒路子(村川梨衣)、黄瀬美甘(山崎エリイ)、緑川末那(広瀬ゆうき)、青山勇気・元気(石田晴香)、桃井はつり(豊田萌絵)、紫村果音(白石晴香)))。どちらもまごうことなきキャラソン。OPは全員歌唱で、ご当地アクションヒロインのありようを歌っており、主題歌のための主題歌といった所か。EDは毎回数名で歌い、メインの歌い手が変わる。
劇中音:爆発音とか花火、汽笛の音など、物語や舞台のアクセントとなる所での効果音が効果的に使われていた。

「終物語(下)」(BS11 全7話 原作:西尾維新 製作:シャフト)
(4.0, 4.1, 4.2, 4.1, 4.2, 4.0, 3.7, 4.0; 32.3pt)
 臥煙伊豆湖(ゆきのさつき)の手によりいきなり殺されてしまった阿良々木暦(神谷浩史)は地獄で八九寺真宵(加藤英美里)に再会する。自らの死の意味を理解し、再び生を得て真の敵たる忍野扇(水橋かおり)と対峙するまでを描いた長編サスペンスミステリーの(たぶん)最終章。
 西尾維新の物語シリーズはあらすじを書くのが大変で、それだけ話の奥が深いわけではあるが、毎度ながらいまいちのめり込めないでいるのは、やはり難解な話を理解することがどうしても前提となるためで、言葉遊びやシャフトの技巧、各登場人物の特異なキャラクター性など、多分に注目する点は多いが、難解な話がそれらへの没頭をどうしても妨げる。結果すごい作品なのに面白みを感じられず、今回のような微妙なポイントに収まってしまう。一応これで物語シリーズは終わりを迎えたと思われるのだが、最後までこの傾向は変わることが無かった。

「徒然チルドレン」(AT-X/BS11 全12話 原作:若林稔弥 製作:Studio五組)
(3.7, 4.0, 3.8, 4.2, 4.2, 4.1, 3.7, 3.8; 31.5pt)
 恋に揺れる高校生たちの様々な純情恋愛模様を、各登場人物の視点から面白可笑しく描いた青春ラブコメ群像劇。
 カップリングは固まっていたものの、各カップルの、かつ男女両方からの視点で描いたオムニバス要素の強い作品で、視点がコロコロ変わりせわしなかったし、キャラに集中出来なかった。五組であることと声優の豪華さから視聴はしてみたが、ショートアニメということもあり薄いストーリーでのめり込むことは出来なかった。

「捏造トラップ-NTR-」(AT-X/BS11 全12話 原作:コダマナオコ 製作:Creators In Pack.Inc)
(3.7, 3.9, 3.8, 4.2, 3.7, 4.2, 3.6, 3.9; 31.0pt)
 初めての彼氏との付き合いにドキドキの毎日を過ごす岡崎由真(加隈亜衣)は、アドバイスを求め幼馴染の元を訪ねるが、その幼馴染がいたずらと称して女の子同士の一線を越えたいたずらを仕掛けて由真を困らせる。そんな2人の関係がエスカレートして行く様子を描いた性複雑性学園ラブストーリー。
 これまでゆるゆりしかアニメ化されたことのなかったコミック百合姫の第2弾アニメで、本来のジャンルであるガチ百合作品としては初アニメ化。蛍(五十嵐裕美)の気紛れに見せかけて、実は彼氏の強要からの逃避と由真と彼氏の関係に対する嫉妬が混ざっての複雑な感情からレズ行為に及んでいたのかなと考えられるが、だとしても蛍の性格は歪んでいるし、原因となった彼氏の態度には怒りすら覚える。レズシーンを楽しめることに期待していたが、互いを求め合う肌の重ね合いは、物語を通じて最後までなかった。

「スカートの中はケダモノでした」(AT-X 全12話 原作:ハナマルオ 製作:マジックバス)
(3.5, 3.8, 3.9, 4.1, 3.3, 4.2, 3.4, 3.9; 30.1pt)
 慣れない街コンに参加した小南静歌(花影蛍)は、気疲れしてしまった所を美人のお姉さんに誘われて2人で会場を抜け出す。しかしお姉さんだと思った人は実は女装した男・霧島涼(皐月栞)で。そんな2人がすれ違いながらもHな関係性を深めて行く異性装エロティックラブコメディ。
 今年になり始まったH系5分枠の第2弾で、一般向けは制限版、お金を払うとHシーン付きの完全版が見れるという、うまい商売を考えたものだ。内容は、まぁ推して知るべし。。。というか、良くある最初は好きとか意識してなかったけどいつのまにか惚れてました的な、良くあるパターンの薄い内容であり、5分アニメで恋愛を語るならあらすじをなぞるだけで精一杯。

「てーきゅう9」(AT-X 全12話 原作:ルーツ/Piyo 製作:ミルパンセ)
(3.5, 3.4, 3.8, 3.9, 4.0, 3.7, 3.4, 3.8; 29.5pt)
 テニス部という設定すら忘れがちな4人の女の子達を中心に繰り広げられる、早口でぶっ飛んだギャグが押し寄せるハイスピードギャグアニメもついに9期です。
 この作品には終わりはないのか?と言わんばかりに、これでもかとネタを注入し続けるその意気や良し。もういちいち内容について考えることさえばかばかしいくらいで、瞬間芸を楽しむという芸当のレベルに達しています。

(旧)「亜人ちゃんは語りたい」(AT-X 全13話 原作:ペトス 製作:A-1 Pictures)
(4.6, 4.2, 4.5, 4.6, 4.0, 4.3, 4.4, 4.0; 34.6pt)
 少し普通の人間と違った個性を持つ所謂亜人が人と混じって生活する世の中で、一般の高校生に混じって等しく学生生活を送る亜人達が、それでもやはり人との違いに悩むなかで、純粋な興味から亜人の問題や特殊性に真摯に向き合う教師高橋鉄男(諏訪部順一)と語り合うことで、亜人たちが抱える悩みを少しずつ解決しながら、豊かな気持ちで学園生活を送る様子を描いたハートフル異種族学園青春グラフィティ。
 亜人といえども、見た目には(デュラハンは仕方ないが)普通の女子校生と変わらない、そんな彼女達が自分たちの体質のせいで迷惑をかけているのではと、むしろ普通の人間よりよっぽど他人を思いやれるとても美しい心の持ち主たちであることに感動したし、そんな彼女等の悩みを真剣に聞き入れ、よく考えて解決に導く鉄男の存在も素晴らしく、ストーリーや人物表現は完璧といえる。6ヶ月の遅れ視聴となったが、某映画やモン娘などのダーク、はちゃめちゃな印象からか異種族・亜人ものを毛嫌いしたせいでリアル視聴しなかったことを大いに後悔した。
物語:亜人1人1人に焦点をあてて、一つずつ問題の解決に親身に取り組む鉄男の姿勢や、亜人ちゃんたちの個々の繊細な気持ちとその変化をしっかりと描いており、見ていて心がほっこりする素晴らしいアニメーション。
世界観:亜人だからといって差別など教育上の問題的表現はあまりない優しい世界という印象を受ける。だからこそ亜人側の個性が問題の焦点となった分かりやすい作品になっているのだろう。
人物:登場人物こそ少ないが、その少ない中でしっかりと語らい合う姿勢が素晴らしいからこそ、その少数のキャラクター達の人となりをしっかりと受け止めることが出来る。これだけ個々のキャラクターに深くのめり込める作品はそうはない。
作画:キャラクターの魅力的な表情は視聴者を引き込むのに十分。学園の背景画に特徴がないだけに、より人物描写が惹き立つ。ほんと、なぜ切ったのか・・・。
声優:各亜人役はいずれも主役を経験済みだが、日笠さんを除いてはやはり若手で、個人的には役不足感を否めない印象。
魅力:ここは亜人アレルギーが若干ポイントに影響している部分。表情がすごくいいので作画的・内面的要素で十分な高評価が得られたはず。
主題歌:OP「オリジナル。」(TrySail)(4.9)、ED「フェアリーテイル」(三月のパンタジア)(3.9)。OPは重低音がやや効きすぎな所は気になるが、語ることで悩みを分かち合おうという作品の重要な趣旨に良く合った見事な楽曲。メロディーの美しさも合って久しぶりに涙腺の刺激される曲に出会った。TrySailのこの曲を聞くためにミュージックレインフェスのLVを見に行ったくらい好きな曲。EDは亜人でありながら学生でもある彼女達を思った優しい楽曲。
劇中音:物語に集中出来ていたので、効果音等で盛り上げを図るようなシーンは特段なかったしその必要もなかった。

「GOD EATER」(BS11 全13話 原作:バンダイナムコエンターテインメント 製作:ufotable)
(4.1, 4.1, 4.2, 4.2, 4.0, 3.8, 3.6, 4.0; 32.0pt)
 未来の地球は、神のごとき新種の生命体「アラガミ」により人類は生存の危機に陥っていた。そんな強大な敵と対峙するため、過酷な研究の末生み出された敵の細胞を体内に埋め込む技術により生体兵器となった通称「ゴッドイーター」で編成される特殊部隊が挑む絶望と紙一重の戦いを描いた対超生命ハードコアバトルファンタジー。
 原作ゲームの人気を受けてアニメ化された本作だが、製作の遅れから何度も総集編を挟み、未放送分はしばらくののちに放送となった曰く付きの作品。生き残りをかけた戦いというシリアス面が強調され、激しい戦闘もそうだが、それ以外の場面でも「命を削る」というのが良く表現されるダークな雰囲気で、かなり気圧される作品だった。作品の質としては確かに素晴らしいものだろうが、辛い気持ちになる作品はどうにも苦手だ。

by mfbox | 2017-10-29 19:53 | オタクゴタク(語託) | Comments(0)